いつもより

外出した時間が短かったのに何だかめっちゃ疲れた、
雨が降ってたせいも有ったのかも知れないねぇ、
区役所に行く途中ヘルパーさんが桜が満開だと教えてくれた、
ふと心の中に母が甦った、
桜の季節になると私にはどうしても忘れられない思い出がある、
両親と私と城崎方面に行ったときのこと、
その頃姉はすでに家に居なかったので三人で出かけた、
まるやま川ぞいを歩いてたとき私の手を引いて歩いてる母の足取りがやけに遅い、
「どうしたの?しんどいの?」そっと母に聞いてみる、
何でもないと言うからそれなら早く歩かないと父さんがまた怒るよと言ったけどいっこうに足取りは速まらない、
私はひやひやしながら母について歩いてホテルに着いた、
入り口で母は私に「これ触ってごらん、
三分咲きの桜の枝、
これが五分咲きの枝、
これがほぼ満開」
私は「うわーぁー!まるでくす玉みたい、
桜の花ってこんなにやわらかくて手になじむね」
その枝をホテルに持ち帰ると従業員がどこの桜の枝折ったんですか!と母に詰問、
勿論本当はまるやま川の桜は折ってはいけないことは重々承知、
母は「皆さんは目でお花見ができるけどこの子は絶対に目で花見はできないんです、
だからせめて枝を触らせてあげたかったんです」と号泣、
するとホテルの人は分かってくれて花瓶を部屋に持ってきてくれて部屋で花見をしたの、
母はこんなすてきな思い出を残して亡くなりました、
母さん有り難う、
この思い出は一生消えないからね。